phono/graph osaka

(The National Museum of Art, Osaka)

intext

2017.10.28–11.24

Art / Media

Regarding to Another Dimension|2

The National Museum of Art, Osaka

Hiroyoshi Suzuki

 

intext

Kazuhiro Jo

Lyota Yagi

Nicole Schmid

softpad

Yukio Fujimoto

 

Presented by: The National Museum of Art, Osaka /

Daikin Foundation for Contemporary Arts

Assisted by: Kobe Art Village Center

Directed by: Yukio Fujimoto, Yasuyuki Nakai

 

Photo: Kazuo Fukunaga Courtesy of The National Museum of Art, Osaka

アート/メディア

四次元の読書|2
国立国際美術館(大阪)

 

鈴木大義
城一裕
藤本由紀夫
八木良太
ニコール・シュミット
intext
softpad

 

主催:国立国際美術館、ダイキン工業現代美術振興財団
協力:神戸アートビレッジセンター
企画:藤本由紀夫、中井康之

撮影:福永一夫

提供:国立国際美術館

書物自身が創造的なものであるばかりでなく、読書もまた創造的な行為である。

藤本由紀夫『四次元の読書』 2001年

 

ただ見るだけの作品は、ここにはひとつもありません。 ここは美術館にある、読書のための空間です。

国立国際美術館の地下1階には、展覧会のカタログや美術に関する図書をだれでも自由に閲覧できる「情報コーナー」があります。「情報コーナー(Media Corner)」はその名称から明らかなように、図書だけではなく美術をめぐるさまざまな情報の公開を目的として、2004年、美術館の中之島への移転にあわせて設置されました。

「アート/メディア―四次元の読書」はアーティストの藤本由紀夫とともに、美術館に併設された図書コーナーの新しい楽しみ方を探る試みです。およそ1年間にわたり続けられるこのプロジェクトでは、「読書」という行為を軸に、これまでにない読書のあり方も視野に入れながら、3つの会期ごとに異なるテーマで、美術と美術をめぐる情報(メディア)の関係について考えます。

ここでいう「読書」とは、単なる書物を読む行為にとどまりません。たとえば、書物を手にとったときに感じる重さや肌触り、紙面に目を走らせるスピードが生み出すリズム、本の内部に身体が入りこんでいくような感覚、これまで知らなかった世界を知ること、これらは読書体験で得られる特徴的な要素です。そして、このような平面(二次元)である書物に対する時間的・空間的ひろがりをもったアプローチは「四次元の読書」ということもできるでしょう。

1960年、モノクロームの画家として知られるイヴ・クラインは「人体測定」と称する作品の公開制作を行いました。これはクラインの指揮によって、クライン作の単和音と沈黙から成る楽曲をオーケストラが演奏する中、裸体の女性たちが青い顔料を塗りつけた自らの身体を壁や床の紙に押しつけてその形を写し取るというパフォーマンスでした。そこで第二期では、音・文字・グラフィックの関係を検証するプロジェクトphono/graphとともに、「見ること」「聴くこと」の今日的展開をさまざまな角度から読み解きます。そして、第一期でのマルセル・デュシャンに対する読解を引き継ぎながら、クラインの青の世界に身を浸しつつ、「音」という形のないものに「読書」を試みます。

──楠本 愛

 イヴ・クラインのサイレンス

 

モノクロームの絵画で知られているイヴ・クラインに「Symphonie monoton-silence」という音楽作品がある。1947年に構想されたこの作品は二つのパートから構成されている。一つは一音を変化させることなく持続して演奏することからなるパートで、これは彼の絵画と共通したもので、絵画作品を聴覚によって表現するものとしてよく理解できる。ただ一音がひたすら長く持続するという作品であったならば、それほど驚くものではないが、二つ目のパートが「無音(silence)」で構成されているところに、錬金術師イヴ・クラインの本領が発揮されている。

「Symphonie monoton-silence」は、20分の持続音と20分の沈黙からなる40分の楽曲である。ここでは「音」と「沈黙」が同等に扱われているだけではなく、鳴り響く音はどうもその後の沈黙への導入部のように思われる。

1958年にパリのイリス・クレール画廊で開催されたクラインの個展「空虚(The void)」では、インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)で印刷された案内状や、画廊への途中にIKBで塗られたものを配置しながら、画廊の中には何もない、真っ白な空間を作り上げた。これはまさに、「Symphonie monoton-silence」の構成と同じである。

1962年公開のグァルティエ・ヤコペッティ監督の映画『MONDO CANE(世界残酷物語)』で正装のクラインが指揮をし、「Symphonie monoton-silence」の演奏が始まり、パフォーマンスを行うシーンを見ることができるが、その試写を見て憤った彼は心臓麻痺に襲われ、数日後に死去した。一説には、「Symphonie monoton-silence」が始めのところしか流されず、すぐに甘い音楽に変わってしまったことが原因であると言われている。ちなみに、ジョン・ケージの「4’33”」は1952年の作品である。

──藤本由紀夫